睡眠が脳の働く力を高める

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あなたが人生でどんなキャリアを積むか、何を成し遂げるか。

それを左右するのが時間の使い方だ。

時間は、唯一すべての人に与えられた共通の条件である。恵まれた才能や環境、肩書きがなかったとしても、時間だけは平等に与えられている。

あなたは自分の時間を組み立てる時に、何を中心に考えているだろうか?

多くの人は仕事や学校の授業、もしくは趣味の時間をいかに費やすかという視点で、1日の時間の使い方を考えている。

この記事では、睡眠を中心にして自分時間を組み立てることを学んでもらいたい。睡眠もまた全ての人に共通に与えられたチャンスである。睡眠を全ての中心に考えるとは、何もたっぷり寝ることだけを指しているわけではない。睡眠の中には、あなたの目標達成するために活用できる力がたくさんあるのだ。それを知り、目的を持って積極的に活用する攻めの眠りを実践できるようになる。

▼目次

睡眠中の脳の働き

そもそも人は何のために眠るのか?

多くの人は疲れを取るために眠るのだと考えているだろう。

疲れた体を回復させることは間違いなく睡眠の重要な効用である。

しかし、睡眠がただ疲労回復や体調の維持のためだけにあると考えているならば間違いだ。そうした考えでは脳の力を最大限に活用することはできない。

なぜなら、寝ている間にもあなたの脳は活発に働いているからだ。

私たちは睡眠中に脳がただ休んでいて、睡眠時間は自分の成長にとって空白時間であると考えがちである。だが、むしろ睡眠中こそ、あなたの脳は成長しているのだ。

具体的に眠ってる間に、脳は疲れをとる以外に次のような仕事をしている。①体験した出来事や学習した記憶を定着させる ②学習したことを使えるように整理をする ③経験した体の動きを反復練習して定着させる ④無駄な感情の記憶を消す等々。

一言で言えば、睡眠中にあなたの脳は学習しているのだ。この睡眠中の脳の仕事が助けることが、あなたの能力を高め、起きている間のパフォーマンスを最大限に引き上げるために必要なことなのである。

睡眠は誰もが毎日必ず行う活動である。これさえうまく利用することができれば、毎日ただ生活しているだけで、あなたの頭は良くすることができるのである。睡眠は最小の手間で最大の効果が発揮できる強力な生理機能なのだ。

睡眠で脳の老廃物を排泄している

脳にとって睡眠はなぜ必要なのか?

その理由は、睡眠によって脳の老廃物を排泄しているからである。

脳にもリンパが流れており、脳は神経活動によって残った老廃物を動脈からリンパの流れで静脈に流して、排泄しているのだ。

睡眠を削れば、脳は老廃物を排泄することができない。これはトイレに行くのを我慢しているようなものである。トイレを我慢し続ければ体調が悪くなるように、睡眠不足で老廃物が排泄できなければ、脳もその働きに異常をきたすのである。

睡眠不足による弊害

①ストレス
あまり眠れなかった翌日の仕事中や授業中、同僚がボールペンをカチカチ鳴らしていたり、隣の人が貧乏ゆすりをしているのが気になって、少しも集中できない…そのような経験をしたことがないだろうか?

これは、睡眠不足によって、脳の扁桃体と部位が過剰に活動しているサインだ。

扁桃体の役割は、見たり聞いたりしたことが、自分にとって害になるものかそうでないかを判断することにある。睡眠不足になると、この扁桃体が過剰に働き、自分に害になることはできるだけ早く発見しようと反応するのだ。

あなたが人前でスピーチをしている途中で、後ろの方に座ってる人が伸びをしているのが見えたとする。普段のあなたならば、それが目に入っても大して気にならないのに、睡眠不足だとやたらと気になってしまう。

このように扁桃体が不快なものを見つけた時、生理的には、心拍数が上がる・呼吸が浅くなる・手や背中にべったりとした汗をかく…といった反応が現れる。この生理反応に気がついたあなたは、「不安になっている」「焦っている」と自覚し、ますます生理的な不安反応が強まるというストレスの悪循環が起こる。

その結果として、集中力が低下してしまい、頭の働きが鈍くなるのだ。

このように睡眠不足の脳は、どうでも良いことにいちいちイライラしたり、会話の中の些細な言い回しを聞き流すことができなくなってしまうのだ。相手のしぐさや言い方が気になったり、生理的に受け付けないと感じたら、それは不機嫌やストレスではなく、睡眠不足の可能性も検討すべきだ。

睡眠不足の原因がストレスだとしてしまえば、正しい対応は出来なくなるが、むしろストレスが睡眠不足による脳の反応だと知っていれば、正しい対応を取ることができる。

②ヒューマンエラー・ケアレスミス
我々の脳は、耳のあたりを境に、後ろ側の頭頂葉と前側の前頭葉に分かれている。頭頂葉には、見たり聞いたり触ったり、実際に確認した情報が集められる。その情報を記憶と照合しながら前方の前頭葉に送り、前頭葉で何らかの判断をして身体全体に行動を命令する。後ろで情報収集し、前で判断しているのだ。我々の脳は、常にこの順番で働いている。

睡眠不足の人の脳を解析したところ、後ろの頭頂葉の一部が働いておらず、代わりに前頭葉の働かなくても良いはずの部位が勝手に働いてることが分かりました。

つまり、頭頂葉で情報を確認しないで経験則で判断したのだ。脳がきちんと情報を集めて確認してなければ、必然的にヒューマンエラーやケアレスミスが増えることにつながる。

どの職場でも、ミスを防ぐためのリスクマネージメントが行われている。例えば、指差し確認や必ず二人以上で確認をすることなどだ。しかし、どれだけ素晴らしいリスクマネジメントが行われたとしても、当人が睡眠不足で仕事に臨んでいれば、脳は事実確認をせず経験則で対応するように働いてしまう。脳がミスを起こしやすい状態である以上、いくらリスクマネジメントに取り組んでも、ヒューマンエラーやケアレスミスはなくならない。

些細な確認ミスを減らすためには、忙しい中でもしっかり睡眠を確保することが必要不可欠なのだ。

③文字が頭に入らない
仕事中や勉強中にぼんやり眠くなったり、ウトウトして意識が遠のくことがある。しかし、当然眠るわけにはいかないので、眠くなっても我慢して眠気をやり過ごし、そのまま仕事を続けてしまう。

すると脳の中で問題が生じる。

脳にとって眠気とは、これ以上活動できないので一旦シャットダウンしてメンテナンスをさせて下さいというサインなのだ。サインが出されたにも関わらず、眠気をやり過ごして作業をし続けると、使っていない脳の部位を強制的に一部眠らせてしまうのだ。

これはマイクロスリープと呼ばれている。

マイクロスリープは、脳は目覚めている覚醒と睡眠の間の状態にあり、眠っている自覚はない。脳の一部だけが眠っているのだ。マイクロスリープの時間の長さは2~7秒ほど。ほんのちょっとした間なので、眠っていたという自覚は本人にはない。 そして、このマイクロスリープ中に、人は50%以上の確率で何らかのミスをする。

睡眠不足の時、重要な文章や報告書を読んでいるのに、同じ行を二回読んでしまったり、読んでも文字が頭に入ってこなかったという経験はないだろうか?または、パソコンを使っていてキータッチのミスや漢字変換のミスなど、普段やらないミスを何回か繰り返したことはないだろうか?頭で考えてる言葉と違う言葉を口走ったり、ろれつが回らないのも同じ現象だ。この時、あなたは眠っている自覚はないが、あなたの脳の一部は既に眠ってしまっているのだ。

マイクロスリープ中のミスは、「あれ?」と思う程度のほんの些細なものである。他人には気づかれないし、自分でも気づかないことが多い。しかし、これを見逃すことによって、致命的なミスが生じてしまうのである。

④別のことを考える
脳には、「集中するモード」と頭の中を「まとめるモード」の二つのモードがある。前者は「実行系ネットワーク」、後者は「デフォルトモードネットワーク」と呼ばれている。この二つの神経ネットワークをシーソーのように入れ替えつつ、脳は外部の情報を取り込み処理をする。この入れ替わりがうまくいくと、仕事も勉強もはかどるし、しっかり集中できます。

しかし、時折この二つのネットワークが不適切な場面で入れ替わったり、入れ替わるべきなのにそのままの状態が続いてしまうことがある。

例えば、考えなければならないことがあるのに、気がついたらスマホに着信したメールを見ている。これは考えをまとめるデフォルトモードネットワークが働かなければならないのに、実行系ネットワークが働いてしまった時に起きる症状てある。

または、1時間後に提出しなければならない資料があるのに、さっき見たメールの内容の事を考えてしまい作成が進まない。これはデフォルトモードネットワークから実行系ネットワークに切り替わらければならないのに、それが出来ずにそのまま考え続けてしまっている状態なのだ。

このように2つのネットワークの切り替えに不具合を起こす原因が睡眠不足にあるのだ。なぜ睡眠不足で、ネットワークの切り替えがうまくいかなくなるのか?

脳は学習しただけではその知識を活かせない。学習したら脳内でその情報を次に使えるように加工しておく必要があるのだ。この情報処理作業がデフォルトモードネットワークによって行われている。

デフォルトモードネットワークは、歩いている時・食事中・トイレ・入浴中・歯磨きをしている時などに働くが、最も強力に働くのは睡眠中である。その貴重な情報処理時間が、睡眠不足によって奪われると、昼間集中すべき時間帯にも実行系ネットワークを押しのけて、デフォルトモードネットワークを働かせてしまうのである。

しかも、このように不適切にデフォルトモードネットワークは活動している時は、脳内のエネルギーは過剰に消費されてしまうのである。

⑤びくびくする
睡眠を司るメラトニンというホルモンがあるが、このメラトニンに対になって働くホルモンがセロトニンである。昼間はセロトニンが脳で分泌されていて、それが夜間にメラトニンに変わる仕組みである。睡眠不足になると、このセロトニンが少なくなる。

セロトニンは、脳を目覚めさせる物質の一つであり、脳を穏やかに目覚めさせつつ、急な出来事や予想外の刺激に反応しないようにコントロールしている。このセロトニンが不足すると、些細なことにいちいち動揺するようになる。

忘れ物に気がついた、スケジュールが変わった、ミスが見つかったなど、気持ちを乱れさせることが起こっても、平常心を保ち、目の前の問題に集中するためには、セロトニンが欠かせない。だから、なんとなく落ち着かない、トラブルで動揺するなどの状態を自覚したら、それは睡眠不足のサインだと認識しよう!