仕事や家庭の都合で、どうしても睡眠時間を確保できない人も多いだろう。そうした人たちでも、なるべく睡眠の作用を使って、日中のパフォーマンスを低下させない方法を解説する。
▼目次
累積睡眠量
普段の睡眠不足を打開するには、累積睡眠量を稼ぐようにしなければいけない。 我々は1日何時間寝ているかということをよく話題にするが、1日の睡眠時間数よりも重要なことがある。
それは、一週間や1ヶ月でどのくらい眠ったかということだ。例えば、午前0時に就寝していたところを23時45分に就寝することで、1日15分の睡眠量の増加だが、これを1ヶ月続けると、トータルで7.5時間余分に睡眠量を稼ぐことができる。
睡眠時間は30分や1時間という単位で考えがちである。少し時間があるから、テレビやネットでも見て、そろそろ眠る時間だと就寝するような生活を送っていないだろか?忙しくても就寝前の5分から10分は時間があるものだ。これを睡眠に当てることで累積睡眠量を増やして、睡眠の量不足を解消するのだ。
徹夜するにも正しい方法がある
基本的には良くないが、どうしても徹夜をしなければならないときもあるだろう。そのときどうすればいいか?それは、一晩中眠らない完徹ではなく、一晩の睡眠を分割して取る方法だ。
この方法は、多相性睡眠と呼ばれている。簡単に言えば、1日の睡眠時間の6割を分割して取る。平均7時間程度の睡眠の人は、その6割の4時間を分割して取るのだ。
多相性睡眠は、まだ全然眠くない昼頃から始める。 徹夜だとあらかじめ分かっていたら、13時から3時間勉強しては30分仮眠する。これを朝まで繰り返すと、勉強や作業の効率低下を最小限に防いで朝まで乗り切ることが可能だ。
ただし、眠くなってから始めるのはNG。実際に眠くなってから仮眠をすると、そのまま朝まで眠ってしまう。成功のポイントは、あくまで全然眠くない昼頃から始めることだ。1日に何回も眠る犬や猫を真似するようなイメージだ。気合いで一晩完徹するより、あらかじめちょっとずつ睡眠をとることで、脳と体への負担を減らすことができるのだ。
アンカースリープ
夜遅くまで仕事や勉強をしていると、どうしても生活が不規則になる。不規則な生活をしていると、睡眠時間もバラバラになりがちだ。眠くなる、または眠るチャンスがある時に眠っておくという感じで、午前や午後、夕方、夜など違う時間帯で眠っていないだろうか?このような眠り方では、睡眠によって体温が下がる時間帯がバラバラになり、生体リズムがずれて体調を崩してしまう。
睡眠で体調を崩さないために、必ず眠っている時間帯を作らなければならない。例えば、夜中の1時から2時や、朝方4時から5時と、必ず眠る時間帯を決めたらどんなスケジュールの日でもこの時間にかぶせて眠るようになる。夕方から夜中の2時まで眠る日もあれば、1時から2時まで仮眠する日もあり、1時から5時まで眠り日もある、という具合に睡眠のコアタイムを決めておけば、他の時間は起きていても眠っていても自由だ。
このように必ず眠っている時間帯を決めて、錨を下ろすように固定すると生体リズムがずれないということで、この方法はアンカースリープと呼ばれている。不規則になっても仕方ないと諦めず、脳に最低限の基準を設定するのである。
まとめ
睡眠不足には、量の不足と質の不足がある。一足飛びに短時間で質の高い睡眠を得ようと考えて、やみくもに睡眠の量を減らすと、結果的にあなたのパフォーマンスを低下させてしまう。
まずは量的な不足をいかにカバーするかを考え、その上で確保できた睡眠時間を最大限に活用するための質を向上させていくのだ。