見た目で他人を操る心理術

「笑顔がキラキラしていて明るい人だ」「表情も服装もみすぼらしくて冴えない奴」…人は他人の性格や能力を見た目で判断しがちなことについて、異論を唱える人はいないだろう。特に初対面の場合、相手の情報を何も知らないので、見た目で判断して決めつけてしまう傾向がある。

この記事では、自分の見た目が他人にどう写り、またどう評価されるのかを説明する。

▼目次

相手を惹きつける表情

人に良い印象を持ってもらうためには、格好だけでなく、表情も大切。表情で好印象を抱かせたいなら、自然な笑顔を作れるようにするのが一番。笑顔には人の気持ちを和やかにさせる効果がある。

そのいい例がテレビで見るアイドルたち。彼女たちはどんなに疲れていても、ファンやテレビカメラの前では、きっちり笑顔を振りまく。それによって、アイドルを見ている人たちの表情もつられて笑顔になるのだ。

笑顔のパワーについては、心理学の実験でも明らかになっている。実験では、男女3人ずつのモデルの写真を用意し、それを被験者である男女40人に見せて反応を調べた。その結果、写真の顔が笑顔だった場合、写真の顔が無表情だった時の20倍も写真への注目度が高かった。このように笑顔には人を惹きつける効果があるわけだ。

また、笑顔はその人だけでなく、周りにも伝播していく。笑顔を武器にできれば、周囲の人は確実にあなたの虜になるだろう。

色を巧みに使い分ける

アメリカの歴代大統領には、ここぞというときの勝負服があるのをご存じだろうか?それが白いシャツ紺色のスーツ赤のネクタイ。このコーディネートは、色の特徴と効果を最大限に発揮させたもの。つまり、色にはそれぞれの特性があり、効果が隠されているのだ。

アメリカ合衆国大統領の勝負服は、白いシャツで清潔感や上品さ・永遠をイメージさせ、紺色のスーツで冷静さや賢さ・男性らしさ赤のネクタイで情熱を表現している。色のバランスも考えられていて、全体としてはオーソドックスな安定感を与えつつ、ネクタイで情熱的な赤を利かせた効果的な組み合わせとなっている。

この他にも、心理学的に色の特性を調べると、緑は安定と調和黄色は希望と光紫は高貴と欲求不満など、色によって特定のイメージを想起させる。

人と会う時は、色を状況に合わせて上手に使い分けすることができれば、その場にあったイメージ戦略を立てることができる。例えば、初めてのクライアントで担当者に挨拶をする時には、淡いグリーンのシャツを着て安心感を与え、プレゼントいう段になったら、赤いネクタイを閉めて勝負に出る。また、謝罪という場面では青やグレーのネクタイで相手の気持ちを鎮める効果を狙い、夜の改まった席のパーティーなどに呼ばれたら、紫をポイントにしたコーディネートで優雅な品を醸し出す、といった具合だ。

逆に、色は自分自身の心理状態にも影響を与える。例えば、やる気を出したい時に赤の洋服を着る。冷静になりたい時には青をポイントにする、さらには緑の洋服を着て気持ちを穏やかにする、紫の洋服で上品な気分を演出する、といったこともできる。色を上手に操って、他人と自分の両方に好影響をもたらすことが可能になる。

ユニフォーム効果

制服姿のCAを見て、まだサービスを受けてないのに「気が利く人なんだろうな」と思ったり、逆に急患で慌てて診療をしてくれた医者が、白衣を着忘れていて不安になったという経験はないだろうか?制服はある種の信頼感や力強さのシンボルになる。こうした制服が持つパワーのことを、心理学用語でユニフォーム効果、またはドレス効果と呼ぶ。

このユニフォームによる力は心理学でも証明されている。実験では、3種類の扮装をした人それぞれが歩行者を呼び止めて、色々な頼み事をする。ただし、それぞれの服装には違いがあり、その特徴は次のようになる。
①ジャケットにネクタイのビジネスマン
②白いエプロン姿の牛乳屋
③警察官に似たガードマンの制服姿
この中で、歩行者に頼みごとを引き受けてもらえたのは、圧倒的に③ガードマンの制服という結果になった。制服一つでここまで違いが現れるわけだ。

もし学校の教師の場合、理科や保健を担当しているなら白衣を着たり、体育を担当しているならジャージを着たりすることでユニフォーム効果が出る。または浄水器は消化器のセールスマンだった場合は、作業着を着ることでユニフォーム効果を出すことができる。逆に、そんな効果を狙ってユニフォームを利用した詐欺を働く人もいるので、服装だけにとらわれないでおく心構えも大切だ。

勝負の赤

赤は心理学的にやる気を起こさせる色として知られている。我々が元気だと思っている状態は、脳内物質のノルアドレナリンが血液や心拍数を上げて覚醒状態が促されているときだ。赤という色には、その交感神経を刺激し、アドレナリンを分泌させる効果があると言われている。

勝負の日やプレゼン、大切な商談がある時は、男性なら赤いネクタイを締めて、やる気と情熱を見せるのだ。相手にもそれが伝わるだけでなく、自分自身にも気合いが入る。

しかし、いくら勝負の時でも冷静な交渉が必要な場面では、相手の興奮や対立状態を招きかねないので、赤は控えめにした方が良い。自分のやる気だけを引き出したい時は、赤のパンツを履くのがおすすめだ。直接見えなくても、履いていると思うだけでもモチベーションが上がる。

また、赤は人の注意を引く色としても知られている。ユニクロNTTドコモJAL三菱グループなどでは、企業ロゴに赤が使われていたり、スーパーの価格表示が赤なのはそのため。勝負のプレゼンの時は、服装だけでなく、資料の大事な部分に赤を使うと読む人の注意を引き付けることができる。また、勉強をしていてどうも眠気がひどくてやる気がしない時には、一時的に赤ペンを使ってノートに重要事項まとめてみるのおすせめだ。たかが色の違いだが、それなりに効果がある。

黒で孤高の存在感を示す

黒というのはベーシックな色で、大抵の書類の文字は黒である。つまり、どんな場合でも用いられるベーシックな色の一つということになる。

しかし、だからといってどこかに埋もれてしまうような色ではない。むしろ、どんな場所でも存在感を放つのが黒という色だ。そういった意味では、信頼を置かれる唯一無二の存在になりたい時に頼れる色とも言える。

黒は感情を揺さぶるような情感的な色ではないが、威厳や風格、重厚感を表現することができ、その人に確かな価値を与えてくれる。

特に、全身を黒のスーツでパリッと決めると、誰が見ても圧倒される。ビジネスでスーツというと、紺色が定番だが、だからこそ一味違う黒で差をつけるのも手だ。「ここは絶対に譲れない」という交渉の時に、黒を基調としたスタイルで挑むと効果的。相手に対して威厳を示し、交渉でも取引先に対して、有利に物事を進めることができるはずだ。

また、黒といえば総理大臣、裁判官、教授、社長など社会的地位が高い人が着用しているイメージもある。ある種の洗練された風格を示す色としても捉えることができる。

他にもフォーマルな席や結婚式、葬式などにも黒が用いられている。このことから一昔前は黒というと、どちらかというと冠婚葬祭のイメージが強く、ビジネスには好まれないとされてきた。しかし、現在はファッションも多様化し、都会的な印象の黒のジャケットや黒のスーツがデザインされ、以前のようなフォーマルや喪服といったイメージが払拭されてきている。

青はビジネスを制す

青は寒色系の代表でクールさや冷静さのイメージを持ち合わせている。海や空の雄大で爽やかなイメージがあり、清々しく好感の持てる色である。色彩心理学でも、青は気持ちを沈静させ、集中力を高める効果があるとされている。日本では、男女共にランキング上位にくる色で、総合的に最も人気がある。

そのため、企業のコーポレートカラーにも採用されている。赤が王道をイメージさせるのに対して、青にはクリーンで挑戦するイメージ信頼感のあるイメージがあることが、採用している理由として挙げられている。

また、青い色を見ると体温が下がり、落ち着いた気分になるとも言われている。頭を使うオフィスや学校には適した色とされている一方で、冷静になりすぎるという傾向もあるので、消極的にならないよう適度な色使いが大切だ。

ビジネスシーンでの服装においては青色や紺色は定番色。コミュニケーションを円滑にし、知的なイメージを与えられるからだ。自分自身を分析してみて、自分の強みが知性にあると思った人は、紺やブルーをイメージカラーとして、必ずどこかに身に着けるというアピールの仕方もできる。

ちなみに濃紺のスーツは、アメリカの大統領候補が選挙演説をするときの定番となっている。これも信頼感や安心感がポイントになっている。また、ネクタイの色選びにおいて青や水色は、発言をマイルドにする効果があり、スムーズな人間関係を築くのに良いとされている。ビジネスを制するなら、青色や紺色、水色を中心としたコーディネートのセンスを磨くと良いだろう。

黄で裏情報を手にいれる

ビジネスの現場は、日々コミュニケーションの連続だ。親密なやり取りでビジネスをスムーズにしたいと考えてる人は、黄色をポイントに使うと、ビジネスがうまくいく。

心理学的に黄色には、人を明るくし、身近な親近感を与え、人の心を開放的にする効果がある。そのため、コミュニケーションカラーと呼ばれているほど。

日常的な風景の中で黄色が取り入れられてるシーンといえば、スーパーのPOPや広告の文字、標識が思い浮かぶ。黄色には人の気持ちを明るくさせるほか、注意を促す効果、割安感を与える効果がある。

特に、背面を黒、青にすると反対色になるため、より引き立つ。プレゼン資料を作るとき、凝った演出を加えたい場合は覚えておくと効果的に映る。

黄色で見た目の効果を上げたいときに最適なシーンは、初対面の人に会うとき。新規顧客やクライアントへの挨拶には、コミュニケーションカラーとしての効果で打ち解けやすい雰囲気を作り出すことができる。新しい人間関係が始まるという時に、ネクタイを黄色にしたり、普段から手帳などの小物に黄色を取り入れるのも良いだろう。また、社内の移動後の部署や転職先への出社の初日に黄色を取り入れると、自然と周囲に溶け込めるという効果も期待できる。

相手に与える影響という点では、明るい色合いで開放的な気分になることから、お互い陽気になり口を軽くさせる効果もある。秘密や裏話も一つの情報。フランクな雰囲気を作ることで会話を広げ、たくさんのコミュニケーションや情報を得たいときには、黄色を有効だ。

グレーで気配を消す

「今日は気分が乗らないな」…そんな心境の時に、無意識にグレーのスーツを手に取っていた、という経験はないだろうか?実は心理学的に考えると、この行動は至って賢明な判断なのだ。

意外なことに、グレーはいわゆるヒーリングカラーの一つ。ほどよく刺激を和らげる効果があり、神経をすり減らすような仕事をしている人は、グレーを好む傾向がある。

また、グレーは仕事の能率を上げる色としても知られている。オフィスのインテリアや事務用品、パソコンなどにグレーが多いのはこのため。しかし、仕事の能率を上げると同時に、気分を鎮める効果もあるため、クリエイティブな発想が必要なオフィスには向かない。

グレーが最大の効果を発揮するシーンは[謝罪の場]だ。例えば、企業が行う謝罪会見で、3人の人が頭を下げているとしたら、1人はグレーのスーツを着て、もう1人ぐらいはグレーのネクタイを締めている。なぜなら、色彩心理学では、グレーは相手の警戒心を和らげながら穏やかな印象を与え、相手を引き立てる効果があるといわれているからだ。グレーのスーツやネクタイ・シャツは、怒りを鎮めるには最適というわけである。自分の個性を消す色でもあるので、目立ちたくないと思った時にグレーを着れば、ひっそりとやり過ごすことができる。

しかし、逆におしゃれに気を配りたいというときにも利用できるのがグレーという色。派手な色を引き立てる効果があるので、使いようによっては洗練されたコーディネートで自分のセンスをアピールすることができる。また、同じグレーでもウール系の素材は落ち着きを与えるが、サテン系のグレーなら、華やかさと落ち着きを同時に手に入れることができる。結婚式で新郎がグレーのタキシードを着るのもこのためだ。

グレーを様々なバリエーションで着こなすことができれば、周りの人たちにおしゃれ上級者という印象を与えることもできる。

メガネで印象を操る

ビジネスシーンにおいて、男性が外見でイメージをそつなく変えるのはなかなか難しい。スーツの色合いはダーク系が多く、髪の毛も短いので、そこまでアレンジも効かない。しかし、あるアイテムを使えば、自分の印象をガラリと変えることができる。そのアイテムが[メガネ]だ。

一昔前のメガネといえば、レンズが厚く、目の印象を薄れさせるものだったが、現在のメガネは、フレームの形や素材、カラーなどの種類も多く、手軽に買えるリーズナブルなものが増えている。シーンに合わせて変化を楽しみつつ、見た目の印象を変えることができる。

メガネはタイプを選ぶことによって印象を変えられる。黒縁メガネは、目の範囲を広く見せ、知的さと印象の残りやすを演出できる。プレゼンなどを多少パフォーマンスが必要な場面で効果を発揮する。反対に、細い縁の眼鏡は、ソフトな印象を与える効果がある。クライアントや取引先の担当者が女性の場合にかけておくといいだろう。

縁のタイプだけでなく形も印象を左右する。四角い形のメガネは、会議やプレゼンなど説得力が必要なシーンで活躍する。人は細い顔をしている人信頼を感じるもの。四角い形のメガネは、顔をシャープな印象にしてくれるので信頼感が増すのだ。

反対に丸い形のメガネは、その場を和やかにしたい時に適している。丸い形は、顔を親しみやすい印象に変えてくれる効果があるため、相手と打ち解けた関係になることができる。

ビジネスのシチュエーションに合わせて、眼鏡を変えて見た目の印象を操作できるようになれば、かなりの心理テクニック上級者といえるだろう。

左右の表情

顔の印象が表情や角度で変わるという話をしたが、更にもう一段上のテクニックに、顔の左右の表情を使い分けるという方法がある。

まず、鏡の前で自分の顔を観察すると、右と左で筋肉の付き方や顔のハリ、目の大きさなど意外と違う点があることに気づくだろう。さらによく見ると、右を向いた時と左を向いた時で顔の印象に違いがあるのが分かる。鏡の前で右側と左側を交互に紙で隠すとわかりやすい。

たいていの人は、自分の右側がシャープで知的な感じ左側がふんわりと優しげな感じになっている。右側がオフィシャルな建前の顔、左側をプライベートな本音の顔と表すことができる。

これを利用して、自分の顔をビジネスなどのシーンで使い分けるという方法がある。相手を説得したり、訴えかける時などは、強さのある右側の顔を見せ、初対面の挨拶や相手と打ち解けたい時は左側を見せるのだ。自分の顔は一つだが、ある意味、ふたつの顔を使い分けることができるというわけだ。

実行するときはずっと右側を向いたり、角度をつけたりするというのは不自然な動きになる。椅子が動かせるならば真正面ではなく、相手のやや右、あるいは左になるようにずらして座ると良いだろう。

矛盾した服装

「見た目」だけで自分を気になる存在にさせる方法がある。「気になる」というのは、何も恋愛感情をだけには限らない。一目置かれる存在になるという意味でもあるので、色々な場面で使うことができる。

「気になる」ためには違和感を与えるという行為が効く。これが巧みに取り入れられているのが広告。広告は、人に注目されなければ意味がないので、様々な仕掛けが隠されている。

例えば、「小さいところが大きいのですね」「食べるダイエット」というコピー。2つとも矛盾した言葉が入っているのでとても気になる、でも、「もしかしてこういう意味かもしれない」と想像できるギリギリの範囲で成立している。

こうした矛盾した内容を「こうではないか?」と探る状態を、心理学では認知的不協和と呼ぶ。自分のそれまで感じていた観念が覆されると、人はどうにかそれを補正しようとする。その補正する作業が「気になる」状態にあたる。

このような人の心理を自分の見た目に行かすには、服装に外しのテクを用いればよい。全体の着こなしはコンサバっぽいのに、メガネだけは最先端なものをつけている。すごく決めたファッションなのにメモをとるのが鉛筆など、何か引っかかるポイントを作り出すのだ。

または、いつもフォーマルなスーツで出勤しているのに、休日出勤した時にはアロハシャツを着てみるなど、年に数回、いつもと違った面を周りの人達に見せると、「あの人はただ真面目なだけの人ではない」「何か魅力があるはず」と探りだしたくなるのだ。

いつも同じような見た目をしていると安心感を与えられる反面、つまらない人という印象にもなりかねない。違和感を利用して、周りから一目置かれる存在を目指してみてはいかがだろうか。

まとめ

茶髪の若者を見て、「チャラくて不真面目なやつだろう」とか、スーツを着てメガネをかけ、七三分けにした人を見て「真面目で堅物な人だろう」と、自分の勝手な思い込みで判断してしまうことがある。

これを心理学ではステレオタイプ効果という。ステレオタイプは、時にうまく当たることもあるが、当てはまらない場合は、しばらくの間は誤解が生じることになる。

我々はいつのまにかステレオタイプを使って、人や物事を判断している。これを前提にすると、初対面の人と会う時は、自分の見てもらいたい印象の見た目をしておくことが大切だとわかる。

ライターを職業にしているある男性は、普段はジーンズなどラフな格好で仕事をしているが、初対面の人に会う日やインタビューがある日は、必ずスーツを着ると決めている。初対面の人に「きちんとした人」という印象を与えたいからだ。見た目を演出することは、自分の印象を高めることにつながる。普段からこの点を意識して、見た目に気を配ろう。


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