メラトニンリズム

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▼目次

光に対する感度

メラトニンというホルモンが増えるほど眠くなり、減るほど目を覚ます。また、メラトニンは脳に光が届くと減る性質がある。単純に考えれば、朝日が脳に届けられればメラトニンが減って目が覚め、夜になって暗くなればメラトニンが増えて自然と眠くなるということだ。

そんなことは当たり前だと思うだろうが、この当たり前がなかなか成立しなくなっているのだ。朝になっても十分で光が入らない環境が多くなり、夜になっても明るい世の中だからだ。このような環境の中では、朝日が昇って日が沈むという自然現象に任せっきりにせず、自分で自分の朝と夜を作るという発想を持たなければならない。

朝の光が脳に届くとメラトニンの分泌は止まるが、光が当たればいつでも止まるわけではない。光に対する感度は時間によって変化する。最も感度が高く、効果的にメラトニンを減らすことができるのは起床直後だ。起床直後から徐々に光に対する感度が低下していき、光で一日のリズムをスタートさせることができる限度が起床4時間後。 起床直後が最も望ましいのだが、寝坊したり、起床利時間が変わっても、4時間後までに脳に光を届けなければ大丈夫だ。

脳に光を届ける方法は、窓から1メートル以内の場所に入るだけでよい。朝日を浴びるイメージとして、カーテンを開けて全身で光を浴びることを思い浮かべるかもしれないが、光は目の網膜からしか脳に届かないので、全身に浴びる必要はない。単純に窓から1メートル以内に入ることができれば、直射日光を浴びなくても十分効果がある。

脳に光が届いたら、その16時間後(子供は14時間後)に眠くなるというリズムがメラトニンによって作られる。6時に起床した場合は、夜の22時頃に眠くなる。これがメラトニンリズムだ。

ポイントは、夜の眠気は朝しか作ることができないということだ。睡眠と言うと、得てして就寝前の工夫にばかり目が向きがちだが、夜にしっかり眠くなるためには、朝の光でしっかりとメラトニンを減らしておかなければならないのだ。

窓から1メートル以内というのは、光の量に関係してくる。日本の住宅は、部屋の中央辺りが500ルクスに設定されている。脳がメラトニンを止めるには、1500~2500ルクス光が必要なので、部屋の中央辺りで過ごしていては目覚めていても、メラトニンの分泌は止まらない。窓から1メートル以内に移動すると、そこで得られる光は、晴れの日で3000ルクス程度、曇りでも1500ルクス程度で、台風の日のように真っ暗で大雨が降ってる日で500ルクス程度だ。だから、特に天候を気にせず目が覚めたら、まず窓から1メートル以内に入るようにしてみよう。

スマホでニュースをチェックする、新聞を読む、朝食、歯磨き、何でもいいので、その行為を窓から1メートル以内の場所で行うように工夫してみる。そうすれば、いちいち脳に光を届けようなどと考えなくても、ただ生活しているだけで睡眠のリズムを整のえることができる。

もし窓から顔を出したり、ベランダに出られれば、得られる光の量は15000ルクス~20000ルクスと桁違いになる。強い光ほど短い時間で効果がある。ベランダに出られれば1分程度、窓から1メートル以内ならば5分~10分程度の時間で朝の起床が整い、夜にはちゃんと眠くなるリズムが作られる。

注意すべきは、外出の予定がない日だ。外には出ない上に、部屋の中央辺りで過ごしていると、その晩はあまり強い眠気はやってこない。これは朝の光が不十分だったことにより、メラトニンリズムの振幅が低くなったためで、翌朝スッキリと起きれなくなってしまう。生活の動線を工夫して、予定がなくても脳に光が届くように工夫しなければならない。

人工的な朝でリズムを作る

朝は日の出前に起床するという人もいるだろう。特に、冬至に近い冬の季節では、7時近くにならないと明るくならないし、梅雨の季節ではなかなか光を得ることができにくくなる。

そのような時は、人工的に朝を作るのだ。かつては、光治療として大きな蛍光灯をいくつも並べた特殊な機器を使い、脳に光を届けていたが、今では随分と小型化され、一般の人が手に取ることができる商品も出てきている。光目覚ましと検索すると、いくつかの商品を見ることができる。机に置いて光源を直接見ずに得られる光は15000ルクス程度なので、太陽の光が得られなくても、メラトニンリズムをスタートさせることができるのだ。

また、このような機器を使わない方法もある。自宅の照明では光の量が少なすぎるが、近づけばルクスが上がる。キッチンや洗面所など、天井より低いところに照明がある場所があれば、目覚めたらそこの照明をつけて近づいてみる。1分~5分程度過ごしていると、頭が少しすっきりしてくるはずだ。この程度でも、メラトニンリズムのスタートを促進することができる。

二度寝もOK!

メラトニンリズムをスタートさせるためには、脳に光を届ければ良いので、いきなり毎朝同じ時間に起きることができなくても焦る必要はない。

目が覚めたらがんばって、窓から1メートル以内にまずは移動する。そこに行きさえすれば、脳に光が届けられるので、もう一度眠ってしまっても構わない。目を開けている時よりは効果が少ないが、眠ってる時でも光は届く。

明るいところでは、それほど長く二度寝することはできない。休日には昼過ぎまで眠ってる習慣がある人でも、明るいところで二度寝をすると、2、3時間程度で自然に目を覚ます。毎日の起床時間の差は小さいほど良いので、頑張って窓から1メートル以内に移動しよう。

夜の環境も整える

浴びる光の量を自分で調整して朝と夜を作るのだが、夜を作る方が難しい人もいるかもしれない。リビングや勉強部屋の照明が明るすぎてはいないだろうか?寝る前に過ごしてる場所の照明がメラトニンの分泌に影響を及ぼすのだ。

そこで夜過ごす部屋では、脳に光を届けすぎないようにする。勉強する時には、手元が明るければいいので、部屋全体を明るくすることは避けて、手元や自分の近くだけを明るくしてみる。使っていない部屋の照明を消すことも大切だ。脳に無駄な光が届けられないようにしよう。

強い光を届けるほど短時間でメラトニンリズムを強調できるのと同様に、はっきりと真っ暗な状況を作ることで、効率的にメラトニンを増やすことができる。最も真っ暗な環境を作りやすいのが入浴中で、入浴中は頭のかなり近くに照明があり、強い光を浴び続ける。これでメラトニンが減ってしまうので、浴室の照明を消して、脱衣所の照明だけで入浴するのだ。

また、眠る前に体操をする習慣があったり、音楽を聴くなど、何かを見たり読んだりしない時間があれば、その間は思い切って部屋の照明を消してみよう。脳は、真っ暗な中に置かれていると、長く起きていることができない。はっきりと夜を作ることができれば、それだけメラトニンリズムの振幅は強化できる。